【2025/2/24に起きました遺棄について】

2025/2/24 朝5時半頃
保護犬カフェ川西店にチワワmixと思われる男の子が遺棄されていました。
雪がちらつく寒さの中を不安げに歩き回り、その近くにはガムテープを貼り巡らされた段ボール。後ほど確認した監視カメラにはその段ボールを置き去りにする人物が写っていました。

遺棄は動物愛護法違反のため通報と所有権の問題から警察への報告が必須であり、法律上しばらくの期間、家族を探すこともできません。

一時保護し、まずは警察へ連絡。
警察の方が駆けつけてくださり、その日は警察署にて預かりとなりました。
数日後、警察から「今のところ犯人からの自主的な連絡はなく、これ以上わんちゃんも遺棄の証拠として警察にいなくてもいいので、検事から近日中に家族を探しても大丈夫と許可が出た」というご連絡がありました。

とはいえ、当団体でも保護数がとても多い状況。
万が一にもこの記事をきっかけに遺棄の選択肢が増えることがないようお伝えしますが、遺棄に命の補償はありません。
たった一頭と思うかもしれませんが、保護施設には「たった一頭」というご相談が多くの方から寄せられています。
保護施設にも限界があり、その限界の先には多頭飼育崩壊があり、崩壊が起きれば多くの子たちが路頭に迷うという無責任な結末へと繋がりかねないのです。

警察での様子をお伺いすると、お散歩は楽しんでくれていたもののご飯やお水は拒否、署員の方も度々咬まれてしまったとお話しされていました。

その状況から保護犬カフェには出られない可能性が高く、出会いの機会は限られます。
当団体では他のわんちゃんや人がとても苦手な子といった様々な事情でカフェに出ることが難しい子は、過度にストレスを与えないようシェルターで生活しながら里親募集をしており、中には10年ほど長い保護犬生活を送っている子もいます。
この子もそうなるかもしれない、シェルターで毎日顔を合わせるスタッフには心を開いてくれても、人員も限られている中で介護が必要になった時に人手が足りるだろうか。
保護の相談が次から次へと来ている現状だからこそ、家族として命を迎える時と同じように保護も感情だけでなく、将来を見据えて慎重に考えなくてはなりません。
葛藤しつつではありましたが、今回の子は当団体で保護することになりました。

段ボールに詰め込まれた経験からなのか、遺棄される前からそうなってしまう環境だったのか、当団体にやってきた日も人が通るたび唸ってしまったり、他のわんちゃんに対しても怒ってしまったりと、当然ですが興奮して落ち着かない様子。
他の子が少ないお部屋でゆっくり過ごしてもらうことになりました。
それでも、抱っこされると大人しくて、お膝が好きなことがわかり、診察も頑張り、甘えたいときは自分から来てくれて、ご飯も時々遊びながらもしっかり食べて、そっとしてほしい時やいやだよという気持ちもちゃんと意思表示してくれて、いろんな姿をゆっくり見せてくれています。

本件は動物愛護法違反として、監視カメラ等を用いて警察にて捜査中となっており、過去の遺棄事件では犯人が判明し、警察へ引き渡しとなっています。

以前、遺棄について皆様へお伝えした際、「遺棄とはいえ保護施設に置いて行ったのは優しさ」というお声もありました。
しかし、遺棄は誰かが発見する前に命を落とすことも考えられますし、その施設が受け入れられるかどうかもわかりません。
場所がどこであっても遺棄という置き去りにする行為は命の丸投げにすぎず、何よりこの子たちの姿をみても、そこにあるのは「人の優しさ」ではなく「人の甘え」だと感じます。

家族に迎えた時、「かわいい」「大事な子」「これからよろしくね」こうした思いを抱いたとき、この子たちにとっては、あなたという家族がたったひとつの世界になります。
家族に迎えるということ、それはこの子のかけがえのない存在となったということです。
だからこそ、あなたを大切に思う子の幸せについて「もしもの時」であっても、向き合い、周りに相談していただきたいと私たちは強く思います。

動物遺棄は犯罪であり、遺棄に命の補償はありません。
命を迎える選択をしたのなら、最期まで家族として生きる。
避けがたい理由によってそれが出来ないのなら、次に命を託す人を探すことだけは決して怠らないでください。(これは今、ひっ迫している方だけでなく、普段から身近な方をはじめ「もしも」を託せる方を探して備えることの大切さをご理解いただければ幸いです。)
出来ることに限りはありますが、しっかりとご相談いただけるのなら、私たちも出来る限りのご協力やアドバイスなど共に尽くします。

この子は「美しい」という意味を持つモーイくん、というお名前で家族を探すことになりました。
今はまだ、彼の中で甘えたい気持ちや、怒りたい気持ち、いろんな気持ちでいっぱいいっぱいな状況なのかもしれません。
少しずつでも落ち着いて、あたたかなご家族と出会い、美しい彩り豊かな生涯をこれから歩めますように。

さいごまで読んでくださったこと、そして、皆様からの応援に、心より感謝申し上げます。

NPO法人ラブファイブ

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